□3月13日;「その一瞬のために」 <走行記録> 天気;雪のち晴れ 距離とアップ;116.25km 最高時速;50.0km/h. 平均時速;20.5km/h. ルート ;宇佐〜豊後高田〜国東〜杵築〜別府 宿泊 ;別府ユース;ペアレントさんはライダー。バイク系の雑誌類がすごい。 入浴 ;同上 <道路情報> ・国東半島、平坦なようで実はグロイ。トンネル多い。 報告書; 「今日の天気は、雪、でしょう」 …という天気予報を確認後、ぼくは再び眠りについた。 午前6時のことである。外はまだ暗かった。 そして、 溢れるばかりの光で目が覚めた。 起きたら7時。晴れていた。 この日は、別府観光メインの日だったので、宇佐から別府まで60キロもないから、ゆっくりしよう、というはずだった。 しかし! この朝日を見た瞬間、ぼくにちょっとした野望が芽生えたのである。 「国東半島とか、行きたくない??」 (←自分に向かって誘いをかけている) 「行きたい!」 …と思って、国道10号から逸れて、213号へ進む。 今思えば、これはきっと罠だった。 213号に進んだ瞬間、 向かい風が吹き始め、やがて雪が降り出した。 雪はだんだん強く降り始め、向かい風で顔面が雪で埋まっていって、すぐに視界が見えなくなる。 ??? こんな、ハズでは! 気温は1℃。 今は、3月中旬。 さらに悪いことには国東半島は思いのほかアップダウンの連続だった。 こんなもの、長崎にくらべればたいしたことないが、しかし、このときのぼくは、まだ長崎を知らない。 ひいひい言って、喘ぎながら走った。 向かい風の雪の下り坂はちっとも嬉しくないということが判明した。 ゴアの耐水性にも限界があり、隙間から冷気とつめたい水が入り込んでくる。 そして、国東半島には、すごい数のトンネルがあって、嫌がらせのようにいちいち番号がついていた。 このとき、ぼくは心底どうして自分が旅をしているかわからなくなっていた。 自分を失いかけていたのである。 しかし、このあと、ぼくは救われることになった。 トンネルを抜けると、 パアッ、と光が差し込んできた。 国東町でのことである。 さっきまで雪。 今も、ちらほら粉雪が降っている。 しかし、雲間から辛うじて太陽が顔を出し、 その柔らかな日差しで粉雪が空気中で溶けていく。 細かい水滴に代わったそれは、太陽の光を受け、ほとんど真っ白な虹色に輝いた。 そして、時が止まった。 息を呑むとはこういうことをいうのだ。 あたりは光に満ち溢れ、まぶしくて目が開けていられなかった。 ぼくの周りはただ眩しかった。 この瞬間のために 今までの苦労があった気がした。 そして、すべての疲れが吹き飛んでいくのを感じた。 □その一瞬を捉えに
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