「海渡る〜しまなみ海道〜」報告書
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走行記録 2005/09/09(金)
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天気 ;晴れ、夕方から雨
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距離 ;183.30km,600up
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最高時速;42.0km/h.
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平均時速;20.5km/h.
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ルート ;広島〜呉〜(フェリー)〜松山〜今治〜しまなみ海道
〜尾道〜三原〜本郷
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道路情報
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呉から出るフェリーは、学生証の提示で学割がきく。
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しまなみ海道への自転車入り口は、松山側から行くと表示がない。地図上では県道161を行く事になる。
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しまなみ海道は自転車道が整備されているが、生口島はわかりにくい。
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尾道へは船で渡る。福本渡船、自転車込みで70円。
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報告書
朝の5時半。
ぼくは眠たい目をこすりながら広島の家を後にした。
ちょっと前までは、5時半というともう日が昇って明るかったのに、この時間まだ辺りが暗いのをこうしてみると、ああ、秋が来たんだな、と感じずには居られない。
ぼくはまだ全然夏気分なので、なんとかして自分の気持ちを秋モードに切り替えていかねばならないと、少しプレッシャーを感じる。
呉までは、自転車で行く。
いろいろ松山に渡るフェリーの値段を調べてみたが、底値は、呉〜松山観光港の学割使用で、自転車込み1980円だった。
呉までの道がぼくは大好きでよく通るが、こうも朝早くから通ったのは初めてだ。だんだんと辺りが明るくなってきて太陽が顔を出すと、あたりは瀬戸内海特有の湿った潮の香りで満たされた。
呉港はこのまえ新しくなったばかりで、敷設して大和ミュージアム(戦艦大和のこと)なんかも出来ていて非常に新鮮だった。
昔の港が消えていくのは、一緒にこの港を使っていた幼い頃の思い出も消えてしまう気がして、寂しいものだったが、船の発着場と、受付のおばさんの信じられない無愛想っぷりは健在だったので、よしとしよう。(広島の人間は基本的に無愛想な人が多い?)
呉の港を船は出港する。
辺りはからりと晴れ渡り、瀬戸内の島々の緑が海の蒼によく映えている。
いろいろな島が見えて、どれも、違っていて飽きない。
瀬戸内の海は、非常に穏やかで、優しい感じがするが、沖縄なんかの透明感のある青って感じの海ではなくて、その色合いは、少しくすんだ蒼に近い気がする。それでも、その海をここまで美しいものにしているのは、やはりこの小さな海にちらばる無数の島々なのだろう。
これから行くしまなみ海道は、まさにそのハイライト!
海風を甲板で受けながら、ぼくの心中はいよいよ高揚してきていた。
松山からは、県道を通って北条まで出て、そこから国道196で今治へと向かった。この道はびっくりするくらい海の直ぐそばを通るので、とても気持ちが良かった。
ぼくにしては随分と珍しく今日は雲ひとつ無い快晴!
ラジオでは、「夕方から曇り、ところによって雨でしょう」といっていたので、少し嫌な予感はしたが、要は夕方まで旅を終えればよいわけだ。
菊間瓦で有名な菊までは、警察署や消防署の屋根まで瓦葺だったりして面白かった。
しかし、波方で激しく迷ってしまい、実際、しまなみ海道へ上がるまでにはけっこう時間がかかった。
しまなみ海道への入り口は印象的だった。
自転車専用の高架があって、そこから上っていく。
その高架が自転車用のためあまりに小さくて、可愛らしいことこの上ない。
上るにつれて、見えてくるのは真っ青な海、と、大小さまざまな島々で、息をのむってのが、自分ではっきり解るくらい、息をのんだ。
とりあえず、今治のサイクリングターミナルにいって、パンフをもらい、そして、出発。
いよいよ、今日のハイライトだ!
来島海峡大橋は、すごかった。
どこがすごいのかというと、まず、橋に自転車道がきちんと敷設してあって、非常に走りやすい。しかも、橋がかっこいい(とぼくは思う!)
これならこの橋だけでも、観光名所になりそうなものだが、そこはやはりしまなみ海道なのであって、最大の見せ場は、この橋ではなくて、そこから見える景色なのだ。
そこに広がるのは、照りつける太陽と、“島”というイメージにぴったり来るような、白い砂浜の縁取りに囲まれ緑の森ですっぽり覆われた島々。その間を埋める蒼。それに見とれている間にも、その間を海鳥が舞い、沢山の船が行き来していて、いわゆる写真で収めきれるような、静的な風景ではなく、もっと生き生きとした景色が目の前には存在している。
これは、やはり100メートル近くの高さの橋の上で見るからこその、とびっきりの景色なのであって、その点、海峡大橋には感謝感激だったのだ。おかげで、料金所にきちんとお金をいれてしまった!(ちゃんと入れよう)
一応、明記しておくが、このしまなみ海道の橋は、自転車でも料金を取られる、来島海峡大橋から順に200円、50円、50円、100円、50円、50円、となっている。
でも!
これが、うまくいかなくて、なかなかいい具合に50円とかの小銭が無いのだ。しかも、そんなときに限って係員が居ないものだから、とても困る。一応、ちゃんと払ったが、来島海峡大橋では150円分しか小銭が無かったので、島でお札を崩して、次の橋で50円余分に払っといた。
絶対、両替機を敷設するべきだと思うのは、ぼくだけでしょうか??
橋から、大島におりて、そこのベンチで昼食をとった。
と!
いきなり、アブに集中攻撃されて、弁当すら落ち着いて食べられなかった。でも、まだまだ夏なんだなって感じがして、少し嬉しかったりもした。
橋の下には道の駅があって、(ここにはゴミ箱が設置されていないので要注意だ)そこから見た海も、橋の上から見る海と違って趣がある。
島の中は、いかにも島って感じののどかな風景が広がっていて、もう2学期が始まっている小学生が帰っていたりした。
そして、ここから今度は伯方・大島大橋を通って伯方島へ向かった。
この橋も、そんなに長くは無いが、きれいな形をしていて、写真を撮るには事欠かなかった(というか、今回のアルバムは、なんか海と橋ばっかの気がする…。)
伯方島は、「伯方の塩」で有名なあの島だ。
この伯方の塩はあまりにメジャーで、よくお菓子やおにぎりなんかも「伯方の塩でつくりました」なんて書いてあるものだから、いったいどんな島なんだろう、って想像をめぐらしてみるが、実際は予想以上に小さな島なのだ。だが、やはり島にはいまでも、昔ながらの製法を使った塩の工場などがあり、そこら辺は期待を裏切らない。
そして、ここから大三島へと渡った。
この島には大山祇神社という、武具甲冑を所蔵する有名な神社があるのだが、以前中学校の遠足できた事があるので今回はスルー。
でも、スルーすると、この島結構大きいのに、あっというまに過ぎてしまうんだよなー。なんかもったいない。
直前に道の駅もあって、そこからの眺めもよかった。
しまなみ海道は、レンタサイクルが充実していて(しかも、どこでも乗り捨て可能で、きちんと返せば500円と安い)、チャリダーで無い人も沢山サイクリングをしていて、いろんな人に出会える。
チャリダーでない人は、挨拶をしても無視られることが多く、ちょっと凹むんだけれど、そこら辺は、しまなみを走っているチャリダーと思い切り挨拶したり、話したりする事で、気分的にカバーしておく。
瀬戸田に渡ると、広がっていたのは、一面の蜜柑畑。
この島は柑橘類の栽培で有名だ。
ここから自転車道がわかりにくくなり、平山郁夫美術館の辺りから道に迷って焦ったが、何とか因島へ抜けることが出来た。
瀬戸田では、「島ごと美術館」という企画が行われていて、島の各地に彫刻が点在している。
さすがにコンプリートしようとは思わないけれど、見つけたときは、けっこう嬉しい!
さて、いよいよ、しまなみ海道も終盤。
因島だ。
しかし、ここらへんから、情けなくもだんだん疲れが出てきた。
昼ごはんが少なすぎたのだ。
かといって、もう、お金も少ない(この時点であと200円少ししかなかった!)
なんかいつもぼくの旅って、空腹で中断を迫られる気がする。
思えば、水も、伯方島辺りから一滴も飲んでない!
自転車のボトルゲージにあるのは、大分前に空になった500mlペットボトルだ。
天気もだんだん曇ってきて、なんだか雨が降ってきそうだ。
こうなると、もう、悠長に風景を眺めてどうこうする精神的余裕はない。
いつものことながら、進歩が無い。
向島まで来て、ラストスパートをかけた。
体力的にも空腹でペダルを踏む力はもうほとんど無い。
水はさっきコンビニで1リットル100円のお茶を手に入れたので心配は無いが、それでも精神的にきつい。(財布にはもう100円も無かった)
どんよりと曇ってきた天気の中、なんとか福本汽船について、多くの地元の人に混じって船に乗り込んだ。
車も何台かいて、船の中には、人、自転車、バイクなど沢山の人が無造作に詰め込まれている。
なかり気分は萎えて、しかも、ぼくの入る場所が無いので戸惑っていると、「前ぇぇッ!!」とかいって、係りのおじいさんに激怒されるし。
とまあ、最後の最後できつい旅だった。
尾道に着いた。
今日は、父母と外食にでかける予定なのだが、広島まで帰るお金がちょっともう無い(笑)すると、さすが親!
尾道まで迎えに来てくれるというのだ!!
(尾道に住んでいる妹の用事のついでだが)
感謝感激!
だが、辺りはいよいよ雨が降りそうになってきた。
尾道駅で輪工して待つのも、なんかきまりが悪かったので、尾道の妹の家で待たせてもらおうと、メールや電話をしたが、面倒くさがり屋の彼女らしく一切の反応は無かった。(兄は悲しいよ…。)
仕方ないので、屍に鞭打って、少しでも広島方面に走ることにした。
で、そのあとは、ちゃんと雨に降られて、そして、日も暮れて、走っている2号線は、歩道はおろか、路肩すらなくて、真っ暗な中トラックにかすりそうになりながら、なんとか本郷まで着いて、今日は終わりにした。
久しぶりに、お腹いっぱい走った気がする。
いろいろ、あったけれど、やはり、しまなみ海道は綺麗だった!という、一般的結論に落ち着いて、その日は、帰って直ぐに寝た。