□報告書

<ルート>;

広島南蟹屋~県道164~国道31~呉
呉~休山トンネル~広~国道185~安芸灘大橋
安芸灘大橋~県道74~~蒲刈大橋
蒲刈大橋~県道287(南回り)~豊島大橋
豊島大橋~県道354(北回り)~豊浜大橋
豊浜大橋~県道355(北回り)~岡村島
岡村島~県道177~オレンジライン~県道355
豊浜大橋~県道354(北回り)~豊島大橋
豊島大橋~県道287(北回り)~蒲刈大橋
蒲刈大橋~県道74~安芸灘大橋~国道185~呉~広島



<googlemap 画面上クリックで拡大>








<走行記録>
天気;晴
距離;143km



報告書;






□今回は今は退役した初代自転車を無理やり修理して走った






「海道」といえば、サイクリストの中では「しまなみ海道」というイメージが強い。




そして、その「しまなみ海道」があまりに有名であるため、

全ての海道は

しまなみ海道にはじまり、

しまなみ海道に終わってしまいがちなのだが、

実は無数の島々が連なる瀬戸内海、実は他にも"海道”があるのだ。




今回、ぼくが向かったのは、「安芸灘とびしま海道」

(詳細:Wikipedia「安芸灘諸島連絡架橋」

正式名称は、Wikiにもあるように「安芸灘諸島連絡架橋」なのだけれど、知名度の高いのは愛称の「安芸灘とびしま海道」だ。



「安芸灘とびしま海道」は、今のところ7つの島を経由する。

下蒲刈島、
上蒲刈島、
豊島、
大崎下島、
平羅島、
中ノ島、
そして岡村島。

上蒲刈島のように大きくて1周するのも大変!という島から、
平羅島や中ノ島のように、小さくて可愛い島まである。



広島からは、国道31号より呉へ。

呉からは、休山トンネルをつかって、安芸阿賀、そして広へと向かう。

ここから国道185号となる。

いずれの道も海沿いを走り美しい風景が広がる。





□地図上で猛烈な距離を誇るトンネル 休山トンネル





国道31号では韓国人チャリダーに会った!

何と自転車で中国地方を走っているらしい。

思わず、自販機でジュースを買って渡してしまった。

日本の味を、と思ったのでコカ・コーラは控えて、アクエリアスとした。

しかし、アクエリアスって日本限定商品だったっけ?





□韓国人チャリダーさん





そこからは安芸灘大橋をわたる。

安芸灘大橋は有料だが、自転車・歩行者のみ無料だ。

橋の西側にある歩道を自転車で通行することができる。

幅も1m以上あり大変親切な設計となっている。





□眺めも抜群である






安芸灘大橋をわたれば、下蒲刈島だ。

関係会社の上司の方がここの出身なので、親近感がある。

島にはいくつか観光スポットがあり、

それなりに整備はされているが、

かといって、「しまなみ海道」のように全力観光化をしているわけではない。

いや、むしろこの「とびしま海道」の魅力はそこにあって、

島の人々や生活がそのまま残されていて、

2008年の豊島大橋の開通(これによって晴れて7島がつがなることになった)を契機に俄かに観光が活気づいてきたといった感じなのだ。

だから、素朴というか、ありのままというか、

そんな自然体の瀬戸内の島の風景が残っているところが魅力となっている。

島を走っていても、観光地を走っているというよりは、人の庭にお邪魔させていただいている、といった、なんとももどかしい感じだ。





□下蒲刈のモニュメント







下蒲刈からさらに橋を渡り、上蒲刈島にわたる。

道のアップダウンはそこそこにあるが、苦しむ程度ではない。




□海は目の前だ





ただ、食料を買い込みは集落にある小さな売店しか望めないので、

街を走るようにギリギリの補給では間に合わないだろう。




□美しい海の風景





多くのサイクリストが島を走っていて、

すれ違うたびに、挨拶を交わす。

すでにここもサイクリングでは有名なスポットになりつつあるようだ。





□上蒲刈の集落 美しい







□豊島大橋 祝開通






蒲刈島から豊島には、2008年に開通した豊島大橋を渡る。

美しいアーチが印象的な橋。

あたりは一面蝉の声で埋められている。

島を渡ると、橋の上から島を周回している県道がみえる。

ここをぐるっと廻れるのかとおもうと、自然をわくわくしてくる。





□島の周回道路






豊島は、北回りで走った。

周囲に漁村風景がひろがり、

少し上の道路をのぼると、瀬戸内の島々が一望できて素晴らしい眺め。

遠くには「しまなみ海道」の橋が見えている。

大崎下島への橋を渡り、更にその先の岡村島を目指す。





□橋を渡る度の記念写真も、海道旅の楽しみ





この大崎下島から平羅島、中ノ島を経て岡村島へ続く道は「安芸灘オレンジライン」とも呼ばれている。

周囲の島々がみかん畑に覆われているからなのだが、夏のこの時期はみかんも青いのでなかなか実感がわかない。

しかし、冬にくればさぞ壮観だろう。





□飾り気のない橋だが味がある






平羅橋は、今までの橋をちがってコンクリートむき出しの無骨な橋。

一瞬、この道で本当にあっているのか?と焦ったが、

遠くをみれば橋が続いている。

ここがオレンジラインで間違いないようだ。






□遠くに橋がみえる この道で間違いないようだ







オレンジラインを走り、岡村島へ。

観音埼という岬をくぐり、小さな丘を越える。

すると、湾に面して小さな集落が見えてきた。

岡村の集落だ。

実は岡村島は愛媛県。

直前の橋の真ん中に県境がある。

車なら見逃してしまいそうだが、自転車なら大丈夫だろう。

見つければ思わず嬉しくなる。





□橋の真ん中に県境






かつては村役場だったろう建物は今は、支所になっている。

港の周りには、神社、商店などが並び、人通りは少ない。

路地裏で、おばあさんたちが話し込んでいる、そんな静かな風景だ。






□まったりとした空気が流れる






「安芸灘とびしま海道」はここで終点。

ここからは、折り返して広島に帰ることになる。

島を今までは北回りで走ってきたので、

帰りは南回りで走ろうかと思う。

そうすれば、どの島も一周して帰れるという塩梅だ。




ここから先は大崎下島にある重要伝統的建築物群保存地区である御手洗を目指す。





□橋のたもとの休憩所にて いろんな島が見渡せる





オレンジラインから大崎下島に戻り、そのまま南下するとすぐに見えてくるのが御手洗の集落だ。

自転車でもあっという間に過ぎ去ってしまいそうな小さな集落、
車なら尚のことだろう。

しかし、一歩、町の中に入り込むと、
そこには、時代を越えたような深い世界が広がっている。





□突如 白壁の家々が現れる





家と家とは近接し、江戸時代、明治時代、昭和、

今までの時代を映し出すような建物が無数に並んでいる。

どこの道も狭く、複雑に入り組み、

それはこのような伝統保存地区によくある街道の宿場町の様相とは大きく異なっていた。

迷路に入り込んだような感覚、

地図を片手に散策して、やっと自分の位置をつかめる程度。

歩いて歩いて、あたりを見渡す。

どこまでも続いていそうな世界。

しかしそれは自転車でもすぐに過ぎ去ってしまうような小さな集落の中なのだ。






□道路から少し奥に入れば







□どこか懐かしく、しかも新鮮だ








□乙女座







□いつの時代のものだろう・・・







美しいのは路地。

路地の美しい町というのは素敵だと思う。

表だけを美しくすることはどの町でもできる。

しかし、家と家との間を美しくするのはお互いの家同士、もしくは集落でのある程度の結びつきがあって、協力体制がなければなしえないことだ。

都市ではとっくの昔に失われてしまった、路地裏の美しさ。

美しさというよりは、ほとんど懐かしさに近いものがある。






□蝉の声が響き渡る中で







□静けさに家族の話し声







□気を抜くと吸い込まれてしまいそうな、幻想







御手洗からは大崎下島を南に回り、

残りの島も行きとは別のルートをとって帰った。

(ただし豊島だけは土砂崩れにより南ルートがとれなかった)

広島までは遠く、帰りは遅くなったが、

箱庭のような芸予諸島を一日でで垣間見れたことは、この夏を彩るいい思い出となった。




□瀬戸内海は穏やかにて晴れ

 
  



――資料と報告書トップページに戻ります。




 


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