□報告書

<プラン>
□ルート;

東加古川~国道2~姫路 
姫路~国道2~青山宿~国道179~龍野~屏風岩~(新宮三差路)~国道179~相坂峠~三日月~佐用~国道373~平福宿 
平福宿~県道5~県道5~国道373~西粟倉~智頭 
智頭~白い道~板井原集落~白い道~県道40~国道482~用瀬
用瀬~河原~鳥取 



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<走行記録>
天気;曇ときどき晴
距離;155km



報告書;


2008年11月。
ちょうど秋も半ばに差し掛かったので、走ってこようと思った。
向かう先は、鳥取。
なぜ、鳥取かといえば、答えは少し恥ずかしいものになるのだが、

「突然、ノスタルジアに襲われて昔通っていた小学校をみたくなったから。」

これ、定年後のおじさまが言いそうな台詞なのだが、ぼくはまだ24歳。
新入社員なのに、既に回顧モードか!?(笑)




今住んでいる家のある加古川から国道2号線にて姫路方面へ向かう。
国道2号はちょうど下を走る国道250号がバイパス代わりになっていてくれるおかげで随分と走りやすい。

出発したのは、朝の7時。
人通りは全く無く、車はまばらだった。

今日は、「ぼくには修行が必要だ」という信念からシャツ1枚にて走り始めたが、ここにきて、予想以上に寒かったことが判明した。
とにかく、寒い!
何とかならないかと思ってが、今日は雨が降らないと勝手に仮定して、防寒着代わりのゴアももってきていない。


<走行情報>

・国道2号(加古川~姫路)は歩道が確保されている部分とそうでない部分が散在。コンスタントに車道を走るのが賢明だろう。車はスピードをださない。
姫路城前からは国道2号は一方通行となる。
東方面へはそのまま直進、西方面へは南側の道をとるため姫路城前にて左折が必要。


□朝の国道2号線



姫路からは、そのまま国道179へ接続して、龍野へ。
城下町とのことで、ここも観光スポットなのだが、今日はまだ先が長いので、ふらふらと街並みをみるだけにとどめる。

朝の龍野は誰もいなくて、町だけが残されているイメージ、
日本特有の、きりっ、と引き締まった寒さが心地いい。

汗が乾いてきたので、ぼくはそのまま北へ向かった。


<走行情報>

・角鳥交差点にて、国道179は右折。龍野大橋を渡って右折する。 ・出雲街道にでるには、そのから直進数キロ先の(新宮三差路)を左折する。見逃しやすい小さな交差点なので注意。
・アップダウンはなく、川を見ながら走る心地いい道。




佐用へ向かう途中、山と山に挟まれた谷に、「三日月」という集落をみつけた。

辺りは穏やかな田んぼ地帯。
そのなかに、中心にそびえる山から放射状に集落が伸びる。

橋には小さな三日月、
駅名も、三日月、
更には、山まで、大きな三日月のマークが。

めくるめく、ドラマかアニメの舞台になりそうな素敵な集落だった。
日も照ってきて、先ほどまでの汗がすうすうと乾いていく。


<走行情報>

・佐用までの峠は3つ。相坂峠、卯の山峠、佐用坂である、斜度は低め、高さもそこまでないが、3連続となるので水の確保はしておきたい。道は狭いが、交通量は多くなかった。


□三日月集落



平福、大原、そして智頭と、佐用から鳥取へ向かう道沿いには多くの宿場町の面影が残る。
どこも同じようで、どことなく違っている。

山も深くなってきて、いよいよ中国山地超えなのかと気合が入るが、さっさと過ぎ去ってしまうには、余りにもったいないほど古くからの美しい街並みが保存されていて、ぼくは大分ここで時間をくってしまった。
辺りはススキがおおく、風もそこそこに強い。

志戸坂峠を越えれば、そこから鳥取県へと入る。
辺りは一面の杉の森。


<走行情報>

・平福、大原の間に峠がひとつ。さらに西粟倉と智頭の間に峠がひとつある。どれも県境の峠。
・西粟倉からは志戸坂峠道路という快適な道が通っているが、これは車専用。自転車は道の駅「あらくらんど」から左折する峠道路入り口をスルーして直進する。旧道を走ることになるが、狭くも無く結構快適な道だった。


□大原の宿



智頭の宿場町の一番北側に、右にそれる小さな道がある。

少し注意しないと見逃してしまいそうなその道が、伝統的建造物群保存地区の板井原集落へと続く道だ。

板井原集落は、智頭の町を遥か下にみる山の上にひっそりと佇む集落で、現在まで車が集落の中に入ったことは無い、という秘境ともいえる場所に位置する。

今では集落の傍までは舗装路が整備され駐車場もあるが、その舗装路も両側一車線の簡易舗装とも言える狭い道。
しかも、智頭の集落からはガードレールも無い急な道を、4キロで350mのぼってやっとたどり着くという険しさだ。


自転車でのぼってみたものの、そのきつさは、今日の5つの峠を全部足しても足りないくらいであった。
一体なんでこんなに苦労せにゃならんのだ?と自分に問いかけ続けた先に、現れたのが、この集落だ。


□板井原集落



集落の入り口には、しっとり露にぬれた六地蔵が鎮座する。

そこから杉の皮で葺かれた小川沿いの小道を歩いていけば、集落のメインストリートへと繋がる。
メインストリートといっても、その幅は2mもなく、「六尺道」の名を持つのもうなずけるというものだ。

古い土蔵、
トタンの屋根、
たれさがった細い枝の柿の木、
聞こえるのが小川の水を利用した水車の音と、カラスの鳴く声。

集落の端には神社があって、ここの紅葉がすばらしいらしい。
だが、ぼくが訪れた今日は、まだ青くて。
ちょっと残念。

ふと、気づけば、後ろの家の縁側に、おじいさんがひとり座っている。
すっかり風景に溶け込んでいるが、よくみたら確かにおじいさんだ。

「こんにちは。」

ぼくは近づいていって、声をかけた。
知らない人に勝手に話しかけて仲良くなるのはぼくの特技だ。

「今年は紅葉はまだのようですねえ。」

「いやぁ、そうよねぇ。あの木は、ほかんとことちょっとちがっとって、ずいぶんきれいに色づくんだけど……」

誰もいない集落に、ふたり。
ぼくとおじいさんの声が遠くひびいた。


総じて集落に人は少なく、時折、観光客と思しき者を見るくらいだ。
今でこそ、「山村集落の原風景」と讃えられ、人も訪れるようにはなったが、もともと立地もあり大勢で来れるような場所ではない。

ここには寂しさと懐かしさが混在する、そう感じた。


□板井原集落2


余談だが、ここから用瀬に抜けるには、元来た道を引き返すか、上板井原集落への駐車場前をとおる道を更に進むかに分かれる。
ぼくは、なんとなく静かな確信をいだいて、用瀬に通じると思われる道へ向かうことにした。

先ほどの駐車場から道はどんどん狭くなり、いよいよ暗くなってくる。
しまいには簡易舗装となった。
すれちがう車もいない。

しばらくいけば、なんだか渓谷の様な場所に出てしまった。
山奥感が一気に増す。

「この道―――あってるのか?」

不安を旨に抱えながら更に進むと、今度は大きな滝に出た。
山奥感が、更に増す。

「この道―――間違ってないか!?」


あまりに静かな夕暮れの杉並木は、ぼくの幻想の世界へと引き入れた。

(このあとちゃんと県道に合流できた……汗)


<走行情報>

・板井原集落へは智頭宿の北にある小道(国道からは交番が目印)をまっすぐ上る。ずっといけばトンネルがあって、その先に駐車場。そこから徒歩となる。かなりのアップがあり、しかも斜度がきつい。
・駐車場横の道を左へ向かうと、板井原用瀬集落へとでる。そこから先に渓谷、滝などがあり、更に進めば県道40号に接続する。


□なぜか現れた滝


鳥取へと帰ってきた、といったら言い方が変だろうか。

13年ぶりに帰ってきた、かつての雪国は、ぼくの背丈が伸びたせいもあって余りに小さくなっていた。
だが、小学校をみたとき、その小さくなったグラウンドに、確かにぼくは小学4年生の頃の自分をみて、どこかもの悲しくなった。

もう、二度と来ないと思った、13年前の引越しの日。
でも、今はこうして自転車ですらここに帰ってこれる。

それは安心感でもあり、同時に、自分が成長してしまって、二度とあの頃に戻れないことを示す証左でもあったのだ。

秋の鳥取は、今日も曇っている。


□鳥取駅にて


 
  



――資料と報告書トップページに戻ります。




 


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