□3月12日;「それはとびっきりに切ない春」

<走行記録>
天気;曇り時々雨
距離とアップ;100.00km(狙った)
最高時速;46.5km/h.
平均時速;21.9km/h.
ルート ;広島〜門司間電車〜門司〜門司港〜中津〜宇佐

<道路情報>

・門司港周辺はアップがある。
・このあと、宇佐までは只管平坦!



報告書;

〜前座〜

猛烈に旅に出たくなかった。
これほどまでに、旅に出たくないのは、久しぶりだ。

それもこれも、
旅の前に始めた、とあるゲームのせいである。
あまりにも切ないので、これ以上の記述は避けるが、
始めたのは、
いわゆる、「恋愛シミュレーションゲーム」(念のため、全年齢対象)…

……アアッ!
あああ、そこ!そこッ、引かないで!

大学1年生、彼女いない暦20年。
―――20年。(人生80年;20年=四分の一)
わかって!
…なんて、云わない。
でも、ここから先は、ちゃんとした報告書だから!(これは前座だから!)
だから、引かないで〜〜〜!

言い訳がましく云えば、
東海道、山陽道の風に吹かれ、雨に降られ、冬の乾燥で乾ききったぼくの心を癒してくれるのは、
もはや、これしかなかったのだった。

そして、
はまりにはまってしまった。
たった5000円で、女の子にモテまくるなんて、すばらしい時代にな(以下、強制的に略。)

…もう、何も云うまい。
テーマソングは、「Hold me tight」小松未歩 !
「九州満期ツアー〜それはとびっきり切ない春〜」、行きます!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここから、報告書。

広島から、門司まで、電車(もちろん18切符)で向かった。
朝一番の電車で向かう。
暗い、そして、日が明けても、やはり暗かった。
というか!
そして雨が降り出した。
これからの旅を予感させるものがあった。
門司は曇りだった。
雨は止んだようだ。
それでも、テンションは低い。
駅で萎え萎えと輪工解除していたら、チラシ配りのお兄さんに話しかけられた。
これから九州を一周するというと、お薦めの街を色々教えてくれた。
お兄さんも九州を色々回っていた。
こうして二人は友達になった。

門司港には、かつて18切符で来たことがあった。
最高のデートスポットだというのに、今日は一人。(注;前回も一人)
しかも、自転車である。
……切ない。

国道10号を進んだ。
わざとだろ!
といいたくなるような、強烈な向かい風だった。
自転車がなかなか進まない。
自分でも嫌になってきた。
そうして、
九州一周の旅、初日にして、
「帰りたいーーーー!」
とか思って、ぼくは自分で自分に駄々を捏ねた。
……切ない。

中津は寒かった。
しかも、迷いに迷った。
そして、コンビニで買った、熱々のお弁当は、
中津城に行くまでに、すっかり冷え切っていた。(鳥のから揚げだけが唯一暖かかった)
ここで一人で冷たいご飯を食べた。
空は曇っていた。
誰もいなかった。
切なかった。
(この日は最高に寒かったのだ。誰も出てこないはずである)

ここから宇佐へ向かった。
「Welcome to USA」
という、文字!
そして、
自由の女神像!
いつのまにアメリカに来たんだ??
というのは冗談で、
「USA」は「宇佐」である。(紛らわしいww)
ちなみに、自由の女神像は、チェーン店の車屋さんのものだと後日判明した。

□「ようこそ!USAへ!」


静まり返っていた。
静かだった。
そこは、
深い深い森だった。
空まで杉がただまっすぐに伸びていた。
その先には、
深紅の神殿が垣間見えた。
それこそ宇佐神宮である。

そこは、
ただ、静かだった。
人もまばらだった。
そして、巫女さんがせっせと竹箒を掃いていて、
そして、せっせと、お守りを売っていた。
神聖な空間だった。
ぼくは、無心に交通安全を祈った。(ついでに、彼女ください、とか祈った)
ここは、
あまりに静かで、綺麗で、そして、煩悩に染められきったぼくには、おおよそ縁のない場所だった。

先ほどの
前座に懲りずに戻れば、
そのゲーム内での、主人公の彼女というのが、巫女さんだったのである。
……なんだか、今日はとびっきりに、切なかった。

一人で宿に入って、
寂しいので、気になっている同じ大学の女の子にメールしようかとか思ったけれど、
なんかそれも、空しくなってやめた。
なにもかも、この今にも落ちてきそうなどんよりとした分厚い灰雲のせいだ。
そう思って、
「明日は晴れますように〜〜」(注;ぼくは晴れだと無条件に元気になる)
とか思って、
そして部屋の電気を消した。

……次の日は、吹雪だった。

―――長い旅が始まった。

甘い空想の春の旅。
実際は、風と吹雪の修行の旅。
こんなに苦しかった旅は、実のところ今までなかった。

舞台は、九州。
季節は、まだ、冬。

□宇佐神宮


 
  


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