日本縦断ツアーの報告書です。 今回は、北海道編、8月21日の報告です! |
□8月21日;「爆走タッグ結成!?」 <走行記録> 天気;曇りのち雨 距離とアップ;190.23km、700up 最高時速;46.0km/h. 平均時速;19.6km/h. ルート ;留萌〜小平〜苫前〜遠別〜稚内 宿泊 ;稚内モリシパユース;8時まで着かないと宿泊できない上に、キャンセル料取られるという厳しい設定がある。でも、ペアレントさんはすごく優しくていい人。ここから宅急便も送れるので縦断チャリダーには嬉しい。 入浴 ;モリシパユース <道路情報> ・国道232;小平までは平坦。その後、アップダウン多い。オロロンラインは風が厳しい。 ・県道106;店が全くない。風がすごい。それゆえに、走りがいがある。 <報告書> 朝が来た。 ラーダーハウスで熟睡したぼくだが、この日の朝は早い。 いよいよ、ゴールが迫って着ている、そう思うといてもたってもいられなくなって、5時には出発の準備に取り掛かった。 他の方を起こさないように、そおっと、階段を下りる。 すると、下で、ぼくを待っている人がいた。 昨日お世話になった、おじいさんチャリダーと、同じ広島出身のお兄さんチャリダーだ。 出発直前になるまで、 本当に、色々世話をしてもらって、感謝の気持ちで一杯だ。 別れをいって(とはいっても同じチャリダー、またどこかで会うだろう) ぼくは、こっそり、裏口から出走した。 朝日が登り始めていた。 透き通った朝の空気は、 秋から冬にかけての日本を特徴付ける。 かつて、明治にやってきた外国人が、日本という国を定義する時、 その数少ない文書に残っている日本の風景に、 この、凛とした朝の空気は、そっとその存在を残している。 そのまだ靄がかる道路を、ぼくは勢い良く貫いていった。 はた、と 気づくのだが、やたらと看板が多い。 どうやら今日のトライアスロンの大会のものらしい。 いったいどこを通るのやら、と思っていると、 道路わきに立っていた係員と思しきおじさんに呼び止められ、 実は、今ぼくが走っているこの道路こそ、今日の大会の舞台だということを知らされたのだった。 ついでに、あと20分弱で選手がぼくに追いつくであろう事も。 せっかくなので、 道の駅おびらまで逃げてきたぼく。 ここにはギャラリーが沢山いて、ぼくも地元の警察官の方や、応援団の人々と話しながら、 この、世界でも最強に過酷といわれている国際大会を、見物することにした。 なんでも、水泳を何キロか走って、自転車を180キロだったか、走って、 そのあと、マラソン42.195、らしい。 神の領域である。 さて、待つこと20分、 遂に、その先頭のスミス(だったかなあ)の外国人を発見! その後、次々と選手が通過していって、辺りは騒然となった。 大分、長い時間、そうやっていて、 やがて選手もまばらになると、 ぼくはその後を、追って走ることにした。 「競れ!」との地元の方の御命令に従い、 ぼくも久しぶりに、全力で走る。 ぼくは明らかに沢山の荷物をパッキングしていて、明らかに、この国際大会の選手ではないのに、 道の応援の人々は、ぼくにジュースや、お菓子、サンドイッチなどを渡して、 「頑張って〜〜!!」と、応援してくれる。 そんなものだから、ぼくもついつい本気になってしまって、いよいよスピードを上げた。 やがて、選手陣が見えてきた(このとき、40〜50キロ/h.くらいで走っていた。) そして、最後尾の選手に狙いを定め、せっかくなので、抜きにかかる。 よし、あと少し! と、前方に、チャリダーの2人組みを発見! ぼくは、レーサーくらいの速さで走っていたので、そのまま抜きにかかった、 その瞬間! 「ちぎって行かないでくださいよ〜」 ……と、聞き覚えある声! なんと、声をかけてくれたのは、秋田で出会ったチャリダー君じゃないか! わぁ〜、とすごく嬉しかった。 今、ちゃんと抜きましたよ〜! こうして、 秋田のチャリダー君のKくんと、ペアランしていた、W稲田のチャリダーくん、この3人で走ることになった。 ことに、W稲田のチャリダー君は、いいヤツで、小樽での一件以来持っていた早稲田の嫌なイメージを一瞬で払拭してくれるような、いい人だった!! さすがに3人で走ると、テンションも上がり、道端の人々の応援もあって、(忘れているかもしれないが、トライアスロンの大会中である。)、ぐいぐい進んだ。 |
さて、
3人で、話しながら、そして、写真を撮りながら、そして、トライアスロンの大会の選手と応援を交し合いながら、ぼくたちは、どんどん進んでいった。 天塩の町のキャンプ場に本当は泊まるつもりだったのだが、2人のテンションに影響を受けて、ぼくも、2人について、いけるとこまでいくことにした、つまり、稚内まで走ることにした。 190キロ近くある! でも、Wくんは、稚内までだと、200キロ以上走ることになるらしい! それでも強気な2人のテンションに、ぼくはすごく感銘を受け、 そして、力がわいてきたのだった。 オロロンライン。 県道106号をメインとする、 店もない、 ガードレールもない、 灯りもない、 信号もひとつしかない(事故がよくおこるという場所に仕方なく設けられた一つ) マップル曰く、“ライダー憧れの道” でも、 スピードが遅いチャリダーにとっては、下手すると命取りになりかねない厳しい道である。 右には、 ずっと、深い草で覆われた大地、サロベツ原野。 左には、 只管、深く冷たい日本海。 風はびゅんびゅん吹きつけ、 そして、 アップダウンもそこそこにある。 ぼくたちは、 下がり行くテンションを 互いに励ますことで維持し、 先頭を代わることで、 体力の低下をカバーした。 やがて、 Kくんは、ノシャップ岬方面へ向かうことになり 再会を期して、ぼくたちは別れた。 (このとき、誤った道を教えてしまった!ごめんなさい!) Wくんとぼくは、稚内へと向かった。 最後、町に入る前に、峠があり、 このとき、既に日が暮れていて、 しかも 雨などが降り出した! まさに、最後の難関である。 特に、風が強くて、 峠でぼくは、 反対側の坂から、 空き缶が、風に飛ばされて、峠を登ってくるという、 恐ろしい光景を目にしたのである。 小雨と強風を全身に受け、 ぼくたちは、目の前に広がる稚内の町へ、走っていった。 稚内で、 ユースに泊まり、 町に出て、いくら丼を食べた。 それはそれは、美しくて、おいしかった。 なにより、 これは、日本縦断の御褒美ということで、 普通のいくら丼以上の意味を持っていた。 最果ての町、 稚内まで来たのである。 |
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